県広報コンクールの開催
予算をかけて、委託制作した作品と、自主制作とで、どうしても差が出てしまった。 浜松市の「ひとりの命を守るために」は、見る人にわかりやすい構成と映像で、消防司令センターという、普段、一般の人の目にはふれない場所の地道な取り組や努力が良くわかる作品になっていた。構成に手慣れたプロダクション制作の良さが出ていた。 他の3作は、自主制作や、予算の制約もあるのか、映像の撮影方法や構成、編集に今一つ工夫が欲しい感じる部分が多かった。どれも、もう少しがんばれば、それなりに良い作品になると感じた。 富士市の「心を込めて、届けます 富士のお茶」は富士市の職員による丁寧な取材、撮影・編集で自主制作の良さが存分に出せていた。 特にインタビューの字幕フォローがされていた点はわかりやすかった。また、インタビューに応えていた農家の方たちがいずれも元気に生き生きと話していた。身近な人がカメラの側にいることの強みなのかもしれない。 最近の撮影機材・編集ソフトは値段のわりに高度になっている。三脚を使用した撮影、字幕をつけることも簡単にできるので、機能を生かした丁寧な撮影をすれば、市・町の自主制作でもいい作品が作れる。富士市の作品は、好例だと言える。富士市のお茶に対する取り組みが広報を通じてしっかり伝える事ができていた。 今年度の審査の印象をひとことで表せば広報映像の<多様性>ということに集約できるのではないかと思います。 応募点数は4作品と決して多くはないものの、それぞれ広報映像が果たすべき役割への問題意識にもとづいて独自の制作スタイルとコンテンツ形態を模索していることに共感を憶えました。 最優秀賞を獲得した浜松市の作品では、消防指令センターでの119番業務を取り上げ、普段知ることのできない業務の実態や過去のエピソードを交えながら119番通報への市民の理解と啓蒙が計られていた点が高く評価されました。 優秀賞の富士市の場合、職員による自主制作というスタイルならではの丁寧な取材が印象に残りました。富士のお茶に関するイベントを追いながら参加者の自然なコメントや表情を切り取っている様子は、定型のローカルニュースなどでは真似の出来ない手作りの温かさを感じました。 他にも市のイメージキャラクターによるダンスパフォーマンスという思い切ったアイデアに勝負を掛けた磐田市、棚田での米作りの様子を8カ月にわたって取材した三島市など、それぞれが地域のリアルを如何に伝えるのか、創意工夫をもって取り組まれていることに敬意を表したいと思います。 これからも作り手の熱意と楽しさが伝わってくる広報映像に期待しています。 |