県広報コンクールの開催
〈審査委員〉
中日新聞社 静岡総局長 東 松 充 憲
n-design代表静岡県広報デザイナー 西 村 春 人
全日本写真連盟静岡県本部委員長 中 村 明 弘
◇組み写真は、運動会や駅伝などが題材だと、想像の範囲内というか、意外性が少ない。特に、同じ高さから撮影した写真ばかりでは、メリハリに欠け、仕上がりが平板になってしまいがちだと思う。もちろん、平板になってしまったとしても公平にたくさんの人が写っているということ自体、広報紙として大切な要素だとは思う。 その上で、審査に当たってみて、どのような組み写真に心が引かれたかといえば、やはり、躍動感があって、元気が伝わってきて、笑顔がたくさん弾けている作品だった。アップとワイドの変化で立体感を出せているか、にも注目した。 吉田町の入学式の組み写真は、多彩で魅力的な子どもたちの笑顔の素晴らしさをマシンガンで撃ち込まれたように感じたほど、印象的だった。カメラを構える高さを低めに心がけて撮影することにより、子どもの表情を的確にとらえている。フットワーク軽く、撮影場所をこまめに移動しながら、相当な数のシャッターを切る努力をしたと思う。 組み写真の撮影では、フットワークはとても大切だ。ぐっと被写体に近寄って撮ったり、思い切って離れて上から見下ろせる場所に上がって撮ったり、地面すれすれの視点から撮ったり、いろいろ工夫してみてほしい。 函南町の猫おどりや三島市の「しゃぎり」の作品などは題材の特殊性が強みだった。ところがそれらに比べれば普通のおまつりかな?と感じた富士宮市のまつりの組み写真は、女性たちのパワフルな勇壮さがすごかった。まつりやイベントの特殊性だけが決定力ではない。主役は、その空間で楽しむ人間たちだ。 外国人とのふれあいが記録された富士市や袋井市の組み写真にも価値を感じた。 菊川の田んぼアートは息の長い取り組みが表現されて見応えがあった。 ◇一枚写真と同じく、撮った写真で紙面を作っていくのではなく、どうレイアウトするか、どんな文章と絡めていくか、という組み立てをしながら撮影できると必然的に良くなると思います。 組み写真ではメイン(核)となる写真をどのくらい用意できるかどうかもカギではないでしょうか?いろいろな雑誌等を参考にして勉強してください。 優秀賞の3点は、「祭り」だからと言う訳ではなく、写真の選び方、メリハリの付け方が良かった。 ◇組写真としては、まず扱うテーマを大切に、それを効果的に伝える工夫をされていることと思いますが、たくさんの人や事柄を載せたい余り、逆に煩雑になり、すっきりとした紙面にならないという問題がでているようです。ここは大胆に写真の選びを行い、写真の大きさや載せる位置などを工夫して、大胆なレイアウトをしてみてください。 使用する写真に力のあるものは、レイアウトした紙面の中でも生き生きと輝いています。また、どの写真を「輝かすか」ということもレイアウトの一つの技術です。いずれにしても、きちんと「一枚写真として存在できるように」撮る、ということを考えてみてください。 ピントの甘い写真がたくさんありました。印刷で何とかなると安直に考えないで、ピントの悪いものは使わない、というくらいに考えると、撮影の技術も高くなっていくと思います。 前回も感じたことですが、祭りや、踊りなどのイベントは、組写真にしやすいことは事実です。たくさんの笑顔があり、動きがあり、熱量が違います。 また、今回、上位に入った理由は、単に「祭り」だから、うまく組めたと言うのではなく、その組み方のセンスや技術や工夫が素晴らしかったからです。そういうテーマの組写真だけでなく、日常の中からテーマを見つけ出し、そういう写真で組んでいく紙面も応募されるとよいと思います。じっくり考えさせられるような内容を、写真に組んで伝える…、そういう作品に出会いたいと願っています。 |