県広報コンクールの開催
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〈審査委員〉
静岡新聞社 編集局長 荻田 雅宏
n-design代表 静岡県広報デザイナー 西村 春人
静岡大学教育学部 准教授 川原��知洋
◇手元にあるスマートフォンにひっきりなしに情報が送られてくる「情報過多」時代にあって、紙の印刷物を手にとって読んでもらうことがいかに大変で、困難を伴うことか。新聞や雑誌、書籍販売の長期低落傾向を見ても明らかです。市民が日常生活を送っていく上で不可欠な情報が掲載され、なおかつ全戸に無料で配布される自治体の広報紙であっても、決して例外ではないはずです。有益な情報を載せているからといって、ただ前例踏襲でやっていては、市民から見向きもされない広報紙になってしまいます。手に取ってもらうため、読んでもらうための工夫がこれまで以上に必要になっています。 大変読み応えのある力作が並んだ今回の審査の経験を通して、自治体の皆さんの苦労がしのばれるとともに、「読まれる広報」であるためのヒントを見つけられた気がしました。その要点をご紹介して、寸評に代えさせていただきます。 一つは時宜を得た特集企画です。地域の喫緊の課題。地域に限らないが現代を生きていく上で避けては通れない問題。これらを市民の方々に「自分事」として考えてもらいたい。そんな狙いがうかがえる優れた特集企画の事例を見ることができました。多くの市民に自分事として捉えてもらう上でキーワードになるのは「共感」でしょう。自分たちの身近な人が取り組んでいる、取りわけ若い仲間が実践していると知れば、多くの人が関心を持ちます。身近な取り組み事例を紹介できるのは、地域に根を張る自治体の広報ならではです。 その意味からも、住民を登場させることは大変重要に思います。地域で頑張っている人はもちろん、声を上げられずに困っている人の声なき声をすくい上げ、問題解決につなげる。地方行政の原点でもあるはずです。インタビューや取材記事だけでなく、住民の笑顔が弾み、一生懸命な顔の写真が並ぶ紙面は、それだけで十分魅力的です。ぜひ、多くの市民を紙面に登場させてください。今どき時代錯誤ではと感じましたが、表紙に市長の顔写真を載せている市、市政の話題を紹介するアラカルト・コーナーの1ページの中に市長が写った写真を何枚も載せている市がありました。多くの市民の手に取ってもらう広報紙を実現するための取り組みとは対極の実践だと認識していただければと思います。 高齢化が進む中で、紙面に愛着をもってくれる人の多くは年配者となります。字の大きさや紙面の余白、すっきりしたレイアウト。高齢者にもストレスなく読んでいただくためには、そうした配慮も欠かせません。だいぶこなれてきている市が多いとの印象を持ちましたが、行政マンが書く文章はどうしても硬く、また、正確性を期すあまりか冗長になりがちです。できるだけ簡潔に、要点を捉えた短い文章で伝えることは、見やすいレイアウトを実現する上でも不可欠に思います。健診や行事情報などの「お知らせ」記事も、まだまだ図表化や定型化を含めレイアウトに工夫の余地があるように感じました。どうしたら読者である市民に分かりやすい表現になるか。知恵を絞っていただければと期待します。 幸いにして内容面でもレイアウト面でも、本県の市の広報紙が全国的にも高い水準にあることは、昨年の全国広報コンクールで島田市が最高賞の内閣総理大臣賞を受賞したことで明らかに思います。コロナ禍で取材等に例年にない配慮が求められるはずの本年も、各市から高い水準の素晴らしい作品が集まりました。 今後ともぜひ、互いに切磋琢磨を重ね、市民に読まれる、市民に喜ばれる広報紙づくりにまい進していただければと思います。 最後になりましたが、貴重な機会をいただいた主催者の静岡県広報協会さまと静岡県内の各市の皆さまに感謝を申し上げます。 ◇全体的に良いものを作ろうとしている気持ちが、すごく伝わってきて良いと思いました。 読み物としての内容、形もまずまずといった感じ。さらに良くするために、タイトル、見出し等の表現の工夫をしていきたい。 材料を揃えたり、並べたりはほとんどで出来ているので、それを、それぞれ独自の味付けをどうするかに、さらに力を入れて行ってみてはいかがでしょうか? ◇新型コロナウィルスの影響が各市の広報紙の特集内容にも色濃く表れた。どのような感染対策が効果的なのか?まちの医療体制はどのような状況なのか?教育現場での子どもたちの学びの実態は?どのタイミングでどのような情報を発信すべきなのか。広報紙制作に携わった方々も例年以上に苦労されたと思う。 紙のまちである富士市(11月号)はトイレットペーパーが品薄になった問題を取り上げた。SNSで投稿されたデマの情報が原因で,日本中のスーパーや薬局が大混乱に陥った。当時の様子について市民インタビューを通しながら情報社会に潜むあらゆる諸問題について切実に語られていた。三島市(9月号)は自治会や町内会のコロナ禍における避難所開設訓練について特集した。各地で実践された事例が写真付きで報告されており参考になる。台風が直撃する恐れのある時期に多くの方々が今知っておきたい情報だったと思う。 反対に,コロナ禍だからこそ明るい話題を提供しようとする気概も感じた。菊川市(11月号)では地元の高校生の活動が地域社会に大きな影響を与えていることを3つの実践を通じて伝えている。明るく希望に満ち溢れた活動であり、私たちに元気を与えてくれる特集だった。 SNSは膨大な情報量と即時性があり,もはや私たちの生活には欠かせないメディアとなっている。広報紙はどうだろうか?情報量と即時性はSNSには劣る。しかしながら地元に根付いた圧倒的な安心感と温もりが広報紙にはあることに改めて気付いた。 |