県広報コンクールの開催
〈審査委員〉
静岡デザイン専門学校 常勤講師 本野 智美
全日本写真連盟静岡県本部委員長 中村 明弘
◇どの作品も長い時間をかけて密着し、粘り強く被写体の一瞬を一番良い状態で捉えた写真ばかりでした。 複数の写真を組み合わせて紙面にレイアウトする際に有効なトリミング力が向上すればもっと伝わるデザインとなり、相乗効果が生まれると思います。 また、メイン写真を大きくしてインパクトを与えたり、写真を切り抜きにして動きを出したりするテクニックを応用するなど、ちょっとの工夫でデザインは良い方向へ向かいます。ぜひいろいろ挑戦していただきたいと思いました。 審査におきましては、みなさまのいろいろな視点からの写真を楽しく拝見させていただきました。 ◇コロナ禍で祭りなど大きなイベントが中止となり、製作者のみなさんはご苦労されたことと思います。しかし、そのことから、身近なテーマを発掘した、意欲的な企画がたくさん見られたことは、素晴らしいと思いました。 祭りの取材なら、参加者の素晴らしい笑顔あふれていますから、それを撮ることは、そんなに難しいことではありません。ですから、それらを組写真にすることで、祭りの盛り上がりを無理なく伝えることができたと思います。ところが、今年はそうはいかなかったのですから、それぞれの企画に合う写真を撮影することはなかなか大変だったでしょう。 その企画をよく理解し、取材を繰り返し、積み上げていき、そこから使う写真の選択をする…。そういう過程で、やはり「何を伝えるか」という問いかけ、それが紙面のどこにどう表されているか、それが大事な原点だと思います。 今回、どの作品からもそうした熱意が伝わってきましたが、その中でも、ユニークで地元にねざした企画のすばらしさの光ったものがありました。そういう組写真では、一枚一枚の写真からも、伝えたい「何か」が力強くにじみ出ていたように思います。 一枚の写真でも、「何か」を伝えることはできますが、何枚かを組むことで、その「何か」は、一層強く、深く伝わっていきます。その時一枚一枚の写真は孤立したものではなく、互いに響き合い、新しいイメージを創り上げていくわけです。組写真には、そういう面白さがあります。大いに研究してください。 |