県広報コンクールの開催
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〈審査委員〉
ピースデザイン 代表 遠藤 次朗
静岡大学教育学部 准教授 川原��知洋
読売新聞社 静岡支局長 山脇 孝二
◇正直、前回拝見させていただいた時よりも更にレベルが上がっていて本当に採点に悩んでしまいました。いずれの広報誌も読みやすさ、構成、内容が狙い通りにまとめられていたと思います。それぞれの紙面作りに創意工夫があり、１ヶ月に１冊のペースで出版されているとは思えない程の充実した内容に感心致しました。 これまでは「報告・伝達」になりがちな冊子が今や、特集記事やインタビュー記事などでリアルな地域状況を魅力たっぷりに伝えられています。 更にコロナ禍においてイベントや催しが軒並み中止になったことが多い中においても企画を入念に立てて丁寧な取材をもとに魅力を伝えることにかなり尽力されたのではないでしょうか。 そんな時こそ、地域で頑張っている人や活躍している人を積極的に取り上げ、人々に元気を与えられる紙面を提供することで貢献できたかもしれません。 魅力的な冊子を創作していける実力はもう十分にあると思います。 読者のニーズにどう応え、そして魅力をどう発信し続けていったら良いのか。常に地域の状況にアンテナを張り、さまざまな人との繋がりを広げることで、ニーズに沿ったより良い情報を発信し続けられるようこれからも頑張ってください。 ◇「企画（記事の切り口の発想性）」については、特集ページの企画内容を比較すると各紙に大きな得点差がありました。企画内容で読者に対して興味関心を抱かせることが最も重要だと改めて思いました。さらに、執筆した人の意見だけでなく、立場の異なる多様な人からの声を聞くことのできる記事構成は、制作するまでに時間も労力もかかるとは思いますが、情報の質は圧倒的に高いと思います。 「文章（表現力、読みやすさ、表記等）」については、今回は特に「右綴じ」「左綴じ」の冊子構成と、「縦書き」「横書き」のページ構成の「組合せ」について注目してみました。原則としては、「右綴じ」であれば「縦書き」（国語の教科書のように）。「左綴じ」であれば「横書き」（英語の教科書のように）だと思います。応募された広報紙の多くは「右綴じ」冊子でした。「右綴じ-縦書き」で構成されている冊子は自然に読むことができるのですが、「右綴じ」にもかかわらず「横書き」で文章が記載されているページが多い冊子が意外と多くとても読みづらいです。特に「時系列」で紹介しなければならない記事は、例え順番を示す数字や日付が記載されていたとしても視線の自然な流れでは読むことができません。企画内容は面白いのに読みづらい冊子があり大変もったいないと思います。これを機に冊子の構成を思い切って変更するのも手かと思います。「横書きページが多い右綴じ冊子」は、来年度から「左綴じ」冊子に改めましょう。 ◇町広報紙部門と同じように、団体広報紙部門も巻頭特集に目がいった。候補に挙がった団体が共済組合、商工会議所、大学、病院、農協など多種多様だっただけに、特集のテーマも多岐にわたっていて大変興味深く読ませていただいた。特に、農協は「食」や農業に関する時事問題を取り上げたものが多く、身近で関心のあるものが多かった。関係者以外の一般読者の関心が高いテーマを設定できるというだけでも、ほかの団体と比べてかなり有利だと思う。 そんな中、農協勢を抑えて最も秀逸だったのが、県立大学だった。特集が２本もあり、いずれも読み応え十分。学内の研究をビジネスに発展させ、社会的に役立ちそうなベンチャー企業の紹介に加え、尾池新学長に学生４人がインタビューした記事も大学の施設や取り組みなどについてざっくばらんに意見交換していて、楽しく読むことができた。２本の特集を通して、明るく開放的な学内の風景が伝わってくるようだった。これだけでも広報紙の役割を十分に果たしているように思えた。 農協勢はレベルが高い特集が目立ったが、中でもなんすんの農福連携は社会的意義が高い作品。恒常的な人手不足に悩む農家と働き先の開拓が課題となっている福祉事業所の双方を結びつける試みで、県が設置した窓口やサポーターなどの取り組みを紹介し、管内の桜葉農家の様子をリポートした。農家や利用者の明るい笑顔が表紙を飾り、好感が持てた。なんすんはドローンの活用やSNSとの連動など先進的な取材・編集手法でも際立っており、今後の広報紙のあり方を示しているようだった。三ヶ日は新選果場オープンという国内有数のミカン産地としてのプライドをかけた新事業を大々的に取り上げた。最新技術を駆使した施設の様子を紹介しただけでなく、組合員の声を多く取り上げていて、産地全体の期待の大きさが伝わってきた。お茶とミカンの静岡県ならではの記事だった。特産品という視点では、伊豆の国のイチゴもよかった。日本農業賞の県代表に選ばれた要因を施設や技術、人材育成など多角的に分析しており、組合員以外にも分かりやすく書かれていた。表紙がシイタケになっていたが、ここはタイムリーなイチゴを目立たせた方がよかったと思う。 内容的に淡泊な印象を受けて残念だったのが藤枝商工会議所。活動の紹介がメーンだったが、会員事業所を詳しく取り上げたら何らかのドラマ性があるのではないか。戦国武将のコラムも、テーマや著者が藤枝との関連性に乏しかった。こころの医療センターは担当者が1人では限界があるのかもしれないが、4ページとボリュームがなく読み物らしきものも見当たらなかった。院内の活動や課題を伝えようという意欲を感じさせる紙面にしてもらいたい。 |
| JAなんすん | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学 | JA三島函南 | JAおおいがわ |
| 清水農業協同組合 | とぴあ浜松農業協同組合 | 遠州夢咲農業協同組合 |