県広報コンクールの開催
〈審査委員〉
朝日新聞社 静岡総局長 佐藤実千秋
静岡県広報デザイナー
n-design代表 西村 春人
全日本写真連盟静岡県本部委員長 藤田 寛司
◇見ているだけで笑顔になる子どもたちの写真、熱く力強いスポーツの一場面、町内のやわらかな雰囲気が伝わってくるカット……。どの写真も広報紙担当のみなさんの確かな技術と、あたたかい視線、そして伝えたい思いが感じられ、楽しく審査させていただきました。 一枚写真の部の最優秀賞は、「広報おまえざき」の迫力の作品。自然に左右され動きも激しいサーフィンを狙ったチャレンジ精神にまず敬意を表します。そして、きらめく水しぶきや盛り上がった筋肉、ひたむきな表情まで1コマに収めた技術。高い評価を集めました。「広報焼津」は、光を背に下から見上げる構図で、コロナ下で神事を継承する緊張感を伝えました。「広報菊川」の一枚は、3年ぶりの開催となる障害者フライングディスク大会。的となる輪の中に競技者とディスクを収め、見る者の心に一直線に届く写真になりました。 組み写真の部は、「広報ふじえだ」の東海道ライトアップ事業。写真の大小にメリハリをつけ、夜空の黒をいかしたレイアウトで、タイトルの色合いの統一感もありました。メイン写真の松の荘厳さが浮かび上がっています。 このほか、一枚で町の空気まで感じられるような作品も印象に残りました。「広報しまだ」の浴衣姿で赤ちゃんを抱く夫婦、「広報みしま」の初夏の母子の川遊び、「広報川根本町」の祖父と兄妹の灯籠流し、あるいは「広報よしだ」の組み写真「マスク姿でも笑顔いっぱい」などです。コメント欄に「何度も足を運び、現場の雰囲気をそのまま届けたかった」「いつも積極的に話しかけながら撮っています」「真剣な表情がわかるようにローアングルで撮りました」と記す担当者のみなさんの姿勢を、心から応援したいと思います。 広報紙という性格上、写真としてのすばらしさと同時に、伝えたいメッセージが明確なことも大切だと感じました。今回の応募作品全体を通してのメッセージは、「コロナ禍の閉塞感を抜け、明るい光の方へ」でしょうか。審査を通して、そうした思いを受け取りました。 ◇ただのスナップ写真ではなく、表紙にふさわしい写真が多かった。 昨今のカメラの進歩か綺麗な写真も多い。 コンセプト等もしっかりしていたと思う。 表紙は特に、狙って作り込まれた(ディレクションした)写真ができると強い。 虚偽はいけないが、ある程度計画されたシチュエーションが狙えるとよい。 ◇上位には主題のしっかりしたものを選ばせて頂いた。 特に最優秀賞に選んだ写真は秀逸であった。構図、キャプションの入れ方、被写体の動き等すべてが完璧であった。よくぞこの白波の中に人物がうまく入ったなあと感心した。この動きの速い被写体を奇跡的にもうまく写し止めた技量は相当のものと、推察する。 次に人物の表情が生きいきと撮れている写真や、撮影条件の悪い夜の写真も良いものがあった。 しかし残念だったのは、何を撮っているのかわからない写真も多く、人物を撮るのであれば、表情のいい所を撮ってほしい。いきなりカメラを向けるのでなく、十分コミュニケーションを取ってから、相手を和ませてから撮ることを心掛けたい。写真はカメラが撮るのではなく、人が撮るものである。 また同じ場所でも表情やアングルの違うものを10枚でも20枚でも撮ってからあとでセレクトする。その中に必ずベストショットがあるはずである。もし無かったら今一度撮り直しに行く位のことをしたい。そのうち段々と1回で撮れるようになるものである。 |