県広報コンクールの開催
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〈審査委員〉 静岡新聞社 執行役員編集局長 石川 善太郎
全日本写真連盟静岡県本部委員長 藤田 寛司
静岡県広報業務アドバイザー（デザイン） 前田 ミネオ
◇組み写真については、一枚一枚の写真はアングルも構図も優れているし、並べ方も工夫されていると感じる作品が少なくありませんでした。ただ、それらは「いい写真を選んで配置を工夫した作品」であって、非常に厳しい言い方をさせていただくなら「組み写真」とはちょっと違うような気がしました。その中で「島田髷まつり」は、例えばトリミングで対応するのではなくアップを狙って撮影するなど、撮影段階から「組み」を意識してカメラを構えている様子がうかがわれ、すばらしい作品に仕上がっていると感じました。 ◇全般的にただ撮って、ただ並べただけの写真群が多かった。 やはりメリハリのある写真群が上位へ来た。見る人の心をどうキャッチするか、工夫されている。写真をいっぱい載せて、ゴチャゴチャ感のあるページは見にくい。 ここで皆さん読者にどう見てもらえるか、もう一度考えて欲しい。また広報と云う性格から人物の写真が多いが、明るく自然な笑顔の写真の方が強い。内容によっては笑顔にならないと思うが写真コンテストの場合、どうしても笑顔の方の写真に引っ張られてしまう。 ◇組み写真とは、記事内容をよりリアルに伝えるための手法です。1枚写真で伝え切れない情報を複数の写真を使って視覚化することです。とは言え、ただ写真を並べるだけでは、そこにドラマが生まれません。読者がいかにもその場にいるような臨場感を誌面で体験してもらうことで、編集者とのコミュニケーションが生まれます。 組み写真の難しさは、数枚の写真だけで何が語られているか認識できるように構成することです。最近ではスマホ写真の精度も上がり一眼レフと変わらぬ仕上がりを見せてくれます。撮影技術も大切ですが写真の持つ魅力を効果的に配置して写真同士の関係性を保つことが組み写真では大切です。さらに大切なのはキャッチフレーズや記事のレイアウトです。誌面を効果的に見せるためにも、フォントの大きさや書体選びにも気を配りたいものです。 採点基準は、ストーリー性の他に同じような写真が並んでいないか、記事との関連性は的確か、紙面の中でバラツキは無いかを基準に採点しました。その場の臨場感とドラマチック性にも注目してみました。1枚1枚の写真が優れていても、生かされなければただの写真として見過ごされてしまいます。複数枚の写真の中からどんな写真を選ぶかメインに取り上げるか、撮影者と編集者の裁量に委ねられます。今年度は例年以上に完成度の高さを実感した組み写真部門でした。非の打ちどころのない誌面を数多く目にして、僅差での審査となりました。 例年通り、祭り行事を取材した組み写真が数多くありましたが、それぞれ祭りの特徴やその臨場感を肌で感じることができました。その中で、切り抜き写真と角版写真を織り交ぜて誌面から飛び出しそうな組み写真に高得点を付けました。その他にも、読者が知り得ない情報を時系列に沿って特集記事として紹介するものに目がとまりました。気になると言えば、広報紙の役割として“少しでも多く写真を載せたい”と言った編集者の考えで、同じような写真ばかりで写真の魅力を損ねた誌面もありました。 先ずは、紙面全体を見渡して写真が生かされているか、窮屈になっていないか、読みやすく印象に残るレイアウトとなっているかを、第三者の目を通して検証しながら丁寧に編集していただきたいと思います。 |