県広報コンクールの開催
〈審査委員〉 NHK静岡放送局 コンテンツセンター副部長 出雲 守和
静岡第一テレビ 報道制作局長 平野 琢也
静岡デザイン専門学校 講師
株式会社アンテロープ 代表取締役 望月 伸晃
◇多様で個性豊かな作品には、観光客の関心を呼ぼうという思惑や、関係者の思い出を温める記録など、それぞれに込められた目的がかいま見られました。映像作品の「目的」を達するためには、具体的なターゲット(年齢や性別、市内に住む人/観光客など)を設定し、そこに一番届きやすい媒体(SNS/デジタルサイネージなど)や映像表現を選択するなど、「方法」を考える必要があります。しかし、すべての作品に通用する法則があるわけではありません。作品ごとの明確な目的と、考え抜かれた方法がかみ合ったとき、初めて、映像は輝くのだと思います。それは、広報映像を含めたあらゆる映像作品に当てはまることだと思います。 かつて、東日本大震災が発生した直後、被災地に入った報道カメラマンたちのなかには、無力感にとらわれた者が少なからずいました。今のようにSNSが普及していない時代に、彼らは、自分たちの映像でこの現状を伝えなければと被災地を駆け回り、さまざまな位置からあらゆる画角で撮影を試みましたが、目の前の惨状を十分に表現できていないと思い込んだためです。それほど、津波によって被災地が失ったものは大きかったのです。しかし、その努力は決して無駄ではなかったはずです。それは、力を集めた救助活動や復旧・復興の取り組み、大勢のボランティア、そして私たちの記憶に刻まれた津波の恐ろしさや防災意識の高まりが証明していると思います。 あらゆる映像作品には、「何のために」「どのような映像で」と愚直に考え続ける姿勢が求められているのではないでしょうか。まして、今はネットやSNS動画の普及、そして撮影・制作機材の高機能化など、取り得る「方法」も多様になりました。これまで以上に「目的」を効果的に達成できる環境が整ってきたとも言えますし、今回集まった作品にも、そうした時代が映し出されていました。可処分時間の奪い合いが激しくなる映像の世界で、これからどのような広報映像が生まれるのか、とても楽しみです。 ◇どの作品も個性的で魅力的で、地元への愛情・愛着も感じられるものでした。 視聴させていただきありがとうございます。 最近では、多くの人にとって映像制作が身近になっただけに、制作する際に、様々な選択肢が出てきていると思います。 我々のような地上波テレビ番組的な作り方、比較的長めのSNS動画的な作り方、ショート動画的な作り方など、目的や予算やターゲットに合わせて選択肢が増えています。 一方で、せっかく制作した動画が、無数に存在する動画の中に埋もれてしまいなかなか視聴されないという現実もあるかと思います。 それを打開し「バズる」ためには、やはり「独自性・オリジナル性」を備えた「新しさ」が必要だと思います。 私自身も制作者として「新しいチャレンジ」を試みながら、これからのコンテンツ制作に取り組んでいきたいと思います。 今回の動画制作、本当にご苦労様でした。 ◇今回のエントリーで全作品に共通して言えることは、「インサートカット」を大事に撮影、編集したかです。 記録としての撮影業務は、どうしても全体像をしっかり捉える事が第一優先事項。何時、何処で、誰が、誰に、どのように、どんなことをしたかが撮影、録音されてなければいけません。 そのためにカメラはどうしても広めの画になりがちです。 しかしながら作品としての充実度はこれだけではいけません。 観る人の心を動かす為には、その事柄に対し「誰がどう受け止めたか」「素晴らしい作品、風景の本質が伝わる」映像(インサートカット)が撮影出来ているかどうかなのです。 来場者、参加者の笑顔、眼差し、作品、風景などのインサートこそが本来の映像作品の意図とリンクするのです。 タレントの都合でインサート撮影をする時間がないという言い訳は通用しません。タレント撮影班と別にインサート撮影班が同じ日に入れば良いのです。 展示物や工場などのインサートなら別の日に行けば良いのです。 全体像を捉える広い画と、思いや詳細を伝えるアップの画が上手く編集されると大変リズム感のある編集になります。 しかしこういったコンクールで委託制作と自主制作を同じ土俵に上げて評価するのは適切な行為なのでしょうか?難しいですね。 |